一点モノという特別感

　まず一番気になるのは、価格のことですよね。一般に「造作家具は高い」と言われていますが、いちがいにそうと割り切れないと私は思います。そもそも工場で量販される既製品（置き家具）と、内装に合わせて１つ１つ入念な手作業で製作される造作家具とでは、“土俵”が違うというか、単純に比較できるものではありません。置き家具だけを見ても、需要バランスや流通によって、良くも悪くもバーゲンセールの対象となり、適正な価格が見えずらいのが現状です。
　要は、購買者の価値観によって商品の価値が決まるわけで、造作家具の価値とは、自分に合った機能性と優れたスペース効率、何より使い手と作り手のこだわりに満ちた奥深いストーリーにある……ということに共鳴していただける人なら、価格以上の満足感が得られるはずです。
　もちろん置き家具にもデザイン性の高いものはいっぱいあります。でも、空間との調和を考えず無造作に置いただけでは、その良さはいかされません。大切なのは、空間の中にうまく造作家具を取り入れ、その雰囲気に合った置き家具を組み合わせることなのです。
　造作家具は、壁に固定するので持ち運びができず、模様替えが予想される子供部屋や、引越しの多い方には向きません。このような特性を十分理解したうえで、新築やリフォーム、マンションの購入など“終の棲家”と出会えたとき、ぜひ私たちインテリアコーディネーターにご相談ください。